不動産投資経験のある30代の子育てライター。不動産関連の記事を中心に書いています。

空き家売却!少しでも高く、早く売るためのノウハウをご紹介

高齢化が進む日本では、相続や住宅所有者の転居などにより、全国で空き家が増え続けています。この「空き家問題」は決して他人事ではありません。「思い出が詰まっているから手放すのは気が進まない」という声もあれば、そもそも「どのように売れば良いか分からない」という声もあります。

本記事では空き家を放置することのデメリットに触れながら、空き家売買の一連の流れに加えて少しでも高く、早く売るための工夫をご紹介します。

 

空き家問題とは

近年、社会問題にも発展している「空き家問題」。自宅の周りや実家の周りを見渡すと、空き家の1件や2件はすぐに見つかるという方も多いのではないでしょうか。総務省統計局の住宅・土地統計調査によると、平成30年において総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.6%と、過去最高となっています。

参照:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」  

https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pdf

なぜ空き家ができてしまうのか

高齢化と核家族化が進んでいる日本では、高齢者が1人または夫婦2人で暮らしているケースが非常に多く見られます。その高齢者がグループホームなどの高齢者施設や子ども宅に転居したり、相続人がそのまま放置したりすることで空き家は生まれます。

自分が生まれ育った家である場合や親が長く暮らしていた場合には様々な想いが巡り、自分の判断で手放すということに迷いが生じやすいのも事実です。「そもそもどのようにして売却をしたら良いか分からない」という声も聞かれます。さらには、相続をした兄弟間で意見が対立して売却ができないケースもあります。

空き家を放置することのデメリット

特に遠方に住んでいる場合や多忙である場合は、空き家を管理せずにそのまま放置してしまうことが多くあります。このような場合はもちろん、1年に数回の管理では環境の維持を十分できるとは言えません。家の周りに草木が生い茂って近隣住人や通行人の邪魔になったり、家の中に動物が住み着いてしまったりすることもあります。

また、家は人が住まなくなると急速に老化が進み、倒壊や損壊のリスクが高まります。

以上のように空き家を放置する弊害は様々です。

空家対策特別措置法とは

増え続ける空き家やそれに伴う生活環境へのマイナス影響を受けて、平成27年に「空家等対策特別措置法」が施行されました。この法律では、「特定空家等」に認定されると行政はその所有者に対して除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言または指導、勧告、命令を行うことができます。

ここでは詳説しませんが、具体的に「特定空家等」とは以下の4点が参考基準となっています。

①そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

②そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態

③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

参照:国土交通省空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html

 

空き家の活用方法

所有者自身がリフォームや建替えをして住むという選択を取らない限り、空き家の活用方法は大きく分けて「売却」と「賃貸」の2つです。賃貸をして収入を得られる可能性もありますが、自分が住まない以上は遅かれ早かれ売却をすることになるでしょう。従って本記事では売却することに焦点を当てたいと思います。

売却と一言で言っても、中古住宅として売却するのか、更地にして土地として売却するのかで価格や流れが異なります。また、建物付きで売却をしたいけれどその建物自体にはほとんど資産価値がない状態(一般的に木造住居の場合は築20年以上)の物件を売却する場合は「古家付き土地」として売却するケースもあります。

以下で各項目の整理をします。

中古住宅として売却

築年数が浅く、建物に資産価値がある場合や建物の意匠そのものに価値がある場合、もしくは築20年以上であっても途中でリフォームがされていたり、綺麗に使われていたりしたためにまだまだ住めるような物件は中古住宅として売却するのが最も手元にお金が残る方法です。

ただし、売却を決心してからリフォームをすることはお勧めしません。リフォームはどうしても個人的な好みが反映されがちですが、必ずしもそれが買主に魅力的に映るとは限らないからです。むしろ価格設定においてリフォーム代相当分低くする方が早期の売却に繋がるでしょう。

土地として売却

元々あった建物の資産価値がない場合や住むには相当な修繕、リフォームを要すると考えられる場合は、更地にして土地として売却するという選択肢があります。ただし、更地にしたからと言ってすぐに売却できる保証はないため、解体費用を先に持ち出しで支払わなければなりません。立地によっては、更地にしてから買主が見つかるまでの間は駐車場として貸し出して賃料収入を得る事も可能です。

1点注意しなければならないのが、道路付けです。現在は建物が建っていても道路付けによっては、再建築不可となってしまう場合があります。具体的には、建築基準法上の道路に2m以上接していない土地は原則再建築不可となっています。更地にしてから気づくことがないよう注意しましょう。

参照:suumo「再建築不可物件とは?後悔しないために知っておきたい再建築不可物件のメリット・デメリット」

https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chukoikkodate/ck_sagashi/saikenchiku_fuka_bukken/

古家付き土地として売却

建物に資産価値はないけれど、解体費用の捻出が難しい場合、または自分の手によって解体をするのは心情的にできないという場合、古家付き土地として売却する方法があります。買主が購入後に建物をどうするかは自由ですが、買主の負担で解体する可能性が高いため、それを加味して売出価格は相場よりも低く設定されるのが一般的です。

 

売却活動を始める前に知っておきたいこと

多くの人にとって、不動産を売却するという経験は一生のうちに1度か2度あるかないかでしょう。媒介契約時に不動産会社からは一連の流れについて説明はされますが、事前にある程度の知識がある方が話はスムーズですし、トラブルも起こりにくいです。

以下では売却の流れに加えて、予め知っておいた方が良いと思われる事項をご紹介します。

売却までの流れ

売却を決めてから決済・引渡しに至るまでの一般的な流れは、主に下記のとおりです。

①不動産会社に問合せ

②価格査定、売出価格の決定

③不動産会社と媒介契約を結び、売却活動開始

④買付申込、売買契約

⑤決済引渡し

売り方は複数でも良い!

不動産の売却活動において、売り方を1つに絞る必要はありません。つまり、中古住宅としても売り出しながら、同時に土地としても売り出すことができます。前述のように、売出価格や手残りの金額を考えると中古住宅で売ることができるのがベストでしょう。

しかし、土地での売却に抵抗がないのであれば土地としても売り出すことで、より多くの人の目に留まることになりチャンスが増えます。その際は、現況は中古住宅が建っているけれど引渡し時には更地であることを意味する「更地渡し」の文言が見出しや写真に記されます。早期の売却を希望するのであれば尚更、複数の売り方で売り出してみてはいかがでしょうか。

どのタイミングで更地にするのが良いか

更地渡しという条件付での売買では、契約締結後に売主の責任で建物の解体(地中埋蔵物がある場合はその撤去)を行います。買主とローン特約を結んでいる場合には、ローン審査が無事通り、契約解除の可能性がなくなってから着工するように注意しましょう。

当然、建物の老朽化などによって早急に更地にする必要性がある物件は除きますが、買い手が決まる前に更地にしてしまうことにはデメリットがあります。これは現況で建物を有する全ての物件に通ずることですが、更地にしたからと言って必ずしも買い手が見つかるとは限りません。

また、木造とは言え、解体費用は高額である上に解体費用をそのまま売出価格に上乗せすることは現実的に難しいと言えます。加えて、更地にすると税制優遇措置がなくなり固定資産税が大幅に増えます。

以上のことから、個別の事情がない場合には契約締結後(ローン審査通過後)に更地にすることをおすすめめします。契約後は何かと忙しくなりがちなので解体業者へは、あらかじめ見積り依頼をしておき、契約がまとまりそうになった時点で工事日程を仮押さえしておくとスムーズです。

 

空き家を少しでも高く、早く売るためにできる工夫

ご自身やご家族が住んできた大切な家を売るのですから、少しでも高く売りたいというのは誰しもが思うことでしょう。また、一般的に流動性が低いと言われる不動産だからこそ、少しでも早く売りたいと思うのも当然のことです。

以下では、不動産会社に仲介業務を依頼することをゴールとせずに積極的に売却活動を進めることで、空き家を少しでも高く、早く売るためにできる工夫をご紹介します。

良い不動産会社を選ぶ

不動産会社の良し悪しが、決済・引渡しまでに掛かる期間や最終的な成約価格(価格交渉などにより必ずしも売出価格と同額ではない)に大きく影響を及ぼすと言っても過言ではありません。その地域の事情に精通している、潜在顧客が多くいる、販促活動に力を入れている(例 新聞広告やチラシを定期的に出している、自社ホームページを頻繁に更新している)、レスポンスが早いなどの基準で絞り込んだ上で、より信頼できそうな会社を選ぶと良いでしょう。実際に電話で問合せをして、所有する空き家が属する地域の不動産需要や最近の取引事例を聞いてみることもお勧めです。

物件の印象を良くする

物件を売り出すと、購入を検討している人が内見に訪れます。内見をした印象(第一印象)が良ければ、購入に結びつく可能性もぐっと上がります。そのためには、建物内、及び敷地内は極力片付けや掃除をして綺麗な状態にしましょう。

せっかく日当たりが良い物件にもかかわらず庭の草木が伸びすぎてそれを阻害している、残置物が散乱しているがために空間が狭く感じられる、ということは絶対に避けたいものです。

物件に対してネガティブな印象が残ってしまった場合はそれを指摘しながら価格交渉をされる可能性もあります、従って売却活動を始める前に、可能な範囲で建物内や敷地内を綺麗にしましょう。

 定期的に不動産会社に連絡を取る

価格が低い物件は仲介の不動産会社が受け取れる手数料も低くなってしまうため、同社の販促活動において優先順位が下がってしまう可能性があります。数多くの物件を取り扱う中で自身の物件を早期に売却してもらうために、具体的に「いつまでに売却したいのか」を明確に伝えましょう。また、買主から価格交渉を持ちかけた時に応じられる余地はあるかということを含めた諸条件についてもあらかじめ伝えておくとスムーズです。

専属専任媒介契約や専任媒介契約の場合、不動産会社は売主に対して1週間または2週間に1度売却活動の進捗連絡を行う義務があります。しかしこれは期間が長くなればなる程、形式的になりやすい側面があります。売主側から積極的に不動産会社に連絡を取り、当該物件を早く売るために販促活動を強化しようという気持ちにさせると良いでしょう。

 

まとめ

「思い出が詰まった家だから」「遠方に住んでいて面倒だから」と空き家の売却には消極的になりがちですが、自分で住む選択をしない以上、遅かれ早かれ売却をしなければなりません。空き家は放置すればする程、老朽化が進み環境が悪化します。売り出したからと言ってすぐに売れるとは限りません。早くから計画的に売却活動に取り組まれることをおすすめします。

また、空き家売却と一言で言っても売り方の選択や工夫で最終的な成約価格や活動期間に差が出ます。不動産会社任せにするのではなく、売主側も積極的に売却活動に関わることで、少しでも高く、早く空き家売却ができるでしょう。