不動産投資経験のある30代の子育てライター。不動産関連の記事を中心に書いています。

不動産投資初心者必見!入居率を上げる方法

不動産投資では、物件取得がゴールではなくスタートです。毎月の家賃収入は、入居者がいて初めて発生します。収入がなければローンの返済にも支障が出ますし、キャッシュフローの悪化も避けられません。不動産賃貸経営をする以上、誰しもが満室を目指すことでしょう。

本記事では、特に不動産投資初心者が入居率を上げるためにできる方法をご紹介します。

 

入居率とは

入居率とは、所有している物件の総部屋数に対して実際に貸している部屋数の割合を指します。例えば、1棟5部屋のアパートを所有していて3部屋が賃貸中の場合は入居率60%です。

入居率は、不動産賃貸経営においてよく聞かれる「空室率」と相反する関係にあります。

 

なぜ入居率が重要か

不動産賃貸経営において「入居率は最も重要」と言えます。なぜなら、入居率の高さが収益に直結するからです。入居者がいなければ家賃収入が発生せず、ローンの返済に支障が出ます。家賃収入から、ローン返済を含めた月々の支出を差し引いたものが利益になるため、家賃収入は多いに越したことはありません。投資目的の賃貸経営である以上は、少しでも多いリターンを望んで満室を目指す人がほとんどでしょう。

 

入居率が下がることのリスク

実際に入居率が下がると、どんなリスクがあるでしょうか。

上述のとおりローン返済に支障が出ます。当然、満室を目指すとしても一時的な入退去を含め、必ずしも常に満室になるとは限りません。そうした状況を踏まえたうえで月々の返済可能額を想定し、ローンを組むようにしましょう。

ローン返済額はなんとか賄えたとしても、家賃収入から返済額を差し引いてほとんど残らないようでは、その他の支出分が持ち出しになってしまいます。毎月発生する共用部分の光熱費に加えて、急な修繕費用や固定資産税の支払いに支障が出てしまうかもしれません。

「入居率が低い物件=人気がない物件」ということを逆手にとって、現在の入居者から家賃の減額交渉をされる可能性もあります。

 

入居率が低い物件の特徴

一般的に、入居率が低い物件にはどのような特徴があるか解説します。もしも所有されている物件が下記の特徴に当てはまる場合には、すぐに改善することをおすすめします。

 

管理・清掃が行き届いていない

物件を見るときは常に、入居者目線、及び内見者目線を念頭に置きましょう。「共用部分にゴミが落ちている」「階段の蛍光灯が切れている」「敷地内に雑草が生い茂っている」「共用部分に自転車が雑然と置いてある」という状況を目にした時、どのような印象を受けるでしょうか。

入居者であれば、「長く住みたくない」と思うでしょうし、内見者であれば「管理・清掃が行き届いていないのは不安」と感じるでしょう。家賃や設備面で近隣の物件に引け劣らないとしても、こうした理由で入居率を下げてしまう可能性は大いにあります。

 

入居募集を1つの不動産会社にしか任せていない

より多くの人の目に入居者募集の情報を触れさせることは、入居者の早期決定に繋がります。それにもかかわらず、募集を1つの不動産会社にしか任せないのは入居率が上がらない一因と言えます。

現在は多くの人が、「ホームズ」「SUUMO」「アットホーム」に代表される不動産ポータルサイトを通して物件探しをしています。しかし、仲介を依頼した不動産会社が必ずしもこれらのポータルサイトと契約をしているとも限りません。もしも同社がいずれのポータルサイトへの掲載をしていない場合は大幅な機会損失になるでしょう。

また、同じ地域の不動産会社であっても、得意分野や営業スタイル、営業マンの熱量は三者三様です。

こうしたことからも、入居募集を1つの不動産会社にしか任せていないのはリスクと言えます。

 

入居者ニーズに合わない物件である

入居希望者が賃貸物件に求める条件は、地域やターゲットとなる世帯で異なります。各地域やターゲットごとの入居者ニーズを踏まえたうえで募集を行わなければ、たとえ賃貸需要があったとしても入居率は伸び悩むと言えるでしょう。

 

募集賃料が相場よりも高い

入居希望者は近隣の物件と様々な比較をしながら、より希望に近い物件を選びます。そうした中で、間取りや立地や設備面などで他の物件に優るものがないのにもかかわらず、明らかに高い賃料を設定している場合は言うまでもなく見劣りするでしょう。

 

設備面のニーズが満たされていない

たとえば、単身世帯向けの部屋であれば「インターネット無料」、ファミリー世帯向けに部屋であれば「追い炊き機能」というようにターゲットごとにニーズも異なります。こうしたニーズを満たしていない中、近隣の競合物件がそれを満たしている場合は、所有物件の競争力が下がり、選ばれにくいでしょう。

 

入居率を上げる方法

入居率のアップを考える際、まず大前提として、現在の入居者の退去を最小限に留まらせる必要があります。もちろん、転勤や同居人数の増減による住み替えニーズがあることは致し方ないことです。それ以外に、「共用部分の清掃や管理が行き届いていないから」「入居時のトラブル対応が遅い」などの理由で退去をする人が出ないようにしましょう。一度入居した人に少しでも長く継続して住んでもらうことは非常に重要です。

一方で、空室となってしまった場合は、1日でも早く入居者を決めることが収益アップに直結します。そのためには、全て不動産会社任せにするのではなく、オーナー自らも入居率を上げるための工夫や努力をしましょう。

 

内見時の印象が良くなる工夫をする

不動産賃貸は売買の時と異なり、入居を検討している物件であっても内見をするのは、ほとんどの人が1回限りであり、その時に受けた印象が入居判断にとても大きな影響を与えます。つまり、「内見時に与える印象を良くする」ことが入居率アップに繋がると言えるでしょう。

 

清潔感をもたせる

たとえ築古物件であっても、清潔感の有無でその印象は大きく変わります。清潔感の有無は、設備の良し悪しに引け劣らないくらい重要なポイントです。隅々まで清掃がされている部屋とゴミや虫の死骸が落ちていたりクモの巣が張っていたりする部屋では、印象が大きく変わることは言うまでもありません。

空室が出たのであれば、次の入居者の内見に備えてすぐにハウスクリーニングを入れましょう。入居が決まってからではなく、必要な修繕や清掃は最短で行うことで早くから内見を開始でき、機会損失を最小化することもできます。

 

明るい印象をもたせる

日当たりが良くなく、どうしても暗い印象になりがちな部屋もあるでしょう。その際は、照明器具をLED照明へ変更することをおすすめします。また、部屋が明るくなるようなアクセント(観葉植物や花、白基調の家具)を一時的に設置することも一定の効果があります。

フローリングのワックス掛けや水回りの水垢とりは清潔感が増すだけでなく、その周辺を明るい印象にしてくれます。

少しの手間と工夫を惜しまないことが入居率アップへと繋がります。

 

入居者の募集条件を見直す

周辺の同じような間取り、家賃の物件は入居率が高いのに自分の物件はなかなか入居者が決まらないという場合は、募集条件を見直すようにしましょう。具体的には、「賃料」「連帯保証人の有無」「ペット飼育可否」などが挙げられます。

賃貸需要をよく把握している不動産会社に相談しながら、見直せる部分は見直すと良いでしょう。

 

募集賃料を見直す

「ホームズ」では、地域別の家賃相場を調べることができます。不動産会社に賃料査定を依頼することも可能ですが、あらかじめ所有者自身が相場を調べ、入居者が決まりやすい賃料を把握しておくことをおすすめします。相場と比較し明らかに高い場合は見直すようにしましょう。

一方で、賃料を下げれば早期に入居者が決まる可能性が高まりますが、一度下げた賃料を上げることはなかなか難しいです。投資上のキャッシュフローを考えるうえで賃料設定はとても重要です。

賃料は相場程度がそれよりも少し高い水準に留め、フリーレントをつけたり礼金をなくしたりするなどの工夫で入居者が決まりそうであれば、そうした選択を取る方が賢明とも言えます。

 

連帯保証人を不要にする

もしもの時に備えるために、多くの物件では契約時に連帯保証人が求められます。しかし、中には身の回りに依頼できる人がいない人もいます。また、連帯保証人に対しては、契約書への署名、及び実印の押印に加えて印鑑証明書の提出が求められるケースがほとんどです。そうした煩雑さから、たとえ親兄弟がいたとしても依頼するのを躊躇する人もいます。

それらのニーズに応える物件として近年、連帯保証人不要のものが増えてきています。

その際はただ保証人をなくすのではなく、保証会社を利用することで、もしものリスクを回避するようにしましょう。

 

ペット飼育を可とする

近年、単身者を含めたペット需要が高まる一方で、ペット飼育可の物件は未だそれ程多くありません。そうした中、ペット飼育可とすることで他の物件との差別化を図ることができます。さらに、需要が多い地域では賃料を相場よりも高く設定できる可能性があります。

ただしペット飼育可にするにはデメリットもあります。たとえば、犬や猫を飼う場合は、壁紙や床が傷つきやすくなり、退去時の原状回復費用が多く掛かってしまいます。退去時にトラブルにならないよう、あらかじめ敷金を通常よりも高く設定したり、契約時に原状回復費用の負担割合について細かく決めたりするなど、対策をしておくと良いでしょう。

 

設備やサービスを見直す

仮に築古物件であったとしても、入居者確保のために大規模なリフォームをすることは必ずしも得策とは言えません。家賃相場にもよりますが、高額なリフォーム費用を回収するには長い年月が掛かることが多く、投資効率を大きく押し下げてしまう可能性が高いからです。

一方で、比較的少額でできる設備変更を行うのは1つの手です。たとえば、トイレの便座をウォシュレット付きのものにしたり、浴室のシャワーバス水栓や湯沸かし器を新調したり、インターホンをモニター付きのものにしたりと、少し手を加えるだけで物件の印象が良くなります。

あまり知られていませんが、あると喜ばれるのは、「洗濯物の室内干しフック」です。1階の部屋に設置すれば、外に洗濯物を干すことを躊躇しがちな女性に喜ばれます。梅雨時期はもちろん、日中家にいることが少ない人からはオールシーズンでニーズがあります。

最近では「インターネット無料」のサービスを提供する物件が多く見掛けられます。こうしたサービス面において、近隣の競合物件と比べて明らかに見劣りしている場合は、同様のサービスを検討してみてはいかがでしょうか。もしも競合物件がこうしたサービスを導入していない場合は、アピールポイントに繋がります。

近隣の競合物件がどのような設備やサービスを導入しているかを把握することで、見直すべき点やアピールできるポイントが明確になるでしょう。

 

インターネットに掲載する写真を明るいものにする

現在は、賃貸物件を探す多くの人がまずインターネット上の不動産ポータルサイトへアクセスし、入居を希望する物件の候補を絞ります。つまり、インターネット上のスクリーニングから漏れてしまえば、内見すらしてもらえない可能性が高いということです。

インターネットで得られる限られた情報の中で、写真の良し悪しは物件への印象を大きく左右します。基本的に、掲載される写真は仲介を依頼した不動産会社が現地へ行って撮影したものですが、写真から得られる印象が良くない場合は同社に差し替え依頼をすることをおすすめします。

「室内外が明るく写されているもの」「アピールポイントが写っているもの」を掲載することで、より多くの人の目に留まったり印象に残ったりすることで、内見希望者が増えるでしょう。

 

不動産会社と良い関係を築く

数多くのオーナーから物件紹介を依頼されている不動産会社にとって、入居希望者への物件紹介時に優劣がついてしまうことはよくある話。「日頃からよくコミュニケーションがとれている」「レスポンスが早い」「管理料や広告料を値切らず売上に貢献してくれる」など、不動産会社にとって取引をしやすい、継続したい、と思わせるオーナーであることが重要です。

仲介を依頼したらあとは不動産会社任せにするのではなく、積極的にコミュニケーションをとりながら良い関係を築くことが入居率アップの一助となるでしょう。

 

まとめ

不動産投資では、物件取得と同時に賃貸経営が始まります。毎月の家賃がインカムゲインのほとんどを占め、収益に直結することから入居率の高さは極めて重要です。入居率が下がると、月々のローン返済や急な修繕費の支払いに支障が出る可能性があります。

入居率を上げるための手段は、必ずしも賃料の見直しやリフォームが全てではありません。むしろ、あまりコストを掛けずにできることがたくさんあります。

「清潔感」や「居室内の明るさ」は内見時に良い印象を与えます。募集条件や設備・サービスを見直すことで近隣の競合物件から見劣りすることも防げるでしょう。日頃から不動産会社とよくコミュニケーションをとることを心掛け、良い関係を築くことも入居率アップに繋がります。

不動産投資において入居率の高さが成功へのカギと言っても過言ではありません。投資効率を考えるうえで最初から大規模なリフォームをすることはおすすめしません。まずはあまりコストを掛けずにできることから見直し、入居率アップに努めてみてはいかがでしょうか。